京セラ PHS BAUM の電話帳データを iPhone に移したい。できれば一括で。しかし,思ったほど簡単ではなさそうだ。
通話用として,長年 PHS を使ってきたが,ついに先月で解約し MNP で格安 SIM に移行した (nlog(n): さようなら Y!mobile こんにちは freetel)。データ通信は iPhone 5s を併用して使い始めていたので,docomo の SIM を抜いて乗り換えた格安 SIM を挿したという形である。これで,「PHS とスマホの2台持ち」から開放され晴れて「スマホ1台持ち」となった。PHS のハードウェアとしての電話機は不要となったのである。
さて,PHS の電話機として使っていたのは,京セラ BAUM (WX341K) で,この度お役御免となったわけだが,そういえば「電話帳データはどうするのだ?」といまさらながら気づいたのである。あまりに音声電話をしないので電話帳のことなどすっかり忘れていたのである。それでも登録数は200件ほどあって,一括でできるなら簡単そうだ。
しかし,その電話帳データをスマホに移そうとして愕然とした。簡単にはいかなそうなのである。
BAUM からエクスポートできる電話帳データの形式にはいくつかの種類がある。
vCard 形式で,地道にやった方がいる (Sweetia WX02K(京セラ製のPHS)から、スマホへの電話帳移行手順 - SHW48のリアルライフ)。なんという手間! これは最終手段だ。
最初に Y!mobile のサイトを見てみると,バックアップのためのソフト「携帯マスターNX7 for Y!mobile」が公開されていた。主な機能は「他社携帯電話から携帯電話へのアドレス帳データ移行」「アドレス帳データのバックアップ」「PCに保存したアドレス帳データの編集」であり,まさに欲しい機能を持っている。しかし…
お知らせ「携帯マスターNX7 for Y!mobile」は、2015年3月31日 をもって提供を終了させていただきました。なお、現在ダウンロード済のお客さまは継続してご利用いただけます。
先月? もう少し早ければ… と思ってよく見たら,去年の3月31日だった orz。
PHS の電話帳データ編集ソフトに「H"問屋」というものがある。読み方は「エッジどんや」で,「H」に濁点で「エッチ」→「エッヂ」というダジャレなところがそれでいいのかよと思うが,「H"」という表記はこのソフトメーカーが作り出したものではなく,公式の呼び名だったので仕方ない (AIR-EDGE - Wikipedia)。
この Windows 用のソフトウェア「H"問屋」も,残念ながら公開は終了しているが,Web Archives WILLCOM|ダウンロード|H"問屋 からダウンロードできるのである (WebArchives万歳\(^o^)/: Tomohiro Diary@blog さんの情報より)。PHS と通信するには,Windows に USB ドライバを導入しておく必要がある (USBドライバ | BAUM | 京セラ)。「H"問屋」は古いソフトで Windows XP までの動作保証しかしていないが (WILLCOM|ダウンロード|H"問屋: 必要動作環境),Windows 7 で動作する。
「H"問屋」は COM ポートでの通信が前提となっている。つまりシリアルケーブルで PHS と接続するということだが,今の時代はシリアルポートを持っているのはデスクトップパソコンくらいしかない。しかし諦めるなかれ,USB ポートで通信が可能である。
試してみたところ,MacBook Pro, Mac OS X 10.11.4 El Capitan, VirtualBox 5.0.16, Windows 7 Ultimate, 京セラ USB ドライバ 03/05/2004,1.0.0.0, H"問屋 1.1.1.0 で動作した。つまり,USB ポートしかない MacBook Pro で,VirtualBox のゲスト OS として Windows を起動し,その Windows にドライバと H"問屋をインストールして動作したということである。
USB が使っている COM ポートはどうやって見つければいいのか? 最初に思いつくのはデバイスマネージャである。
デバイスマネージャを開き,「ポート (COM と LPT)」を見ると「Kyocera PS Data Port (COM3)」となっている。しかし,H"問屋に設定したところ通信はできなかった。次に試したのは「コントロールパネル」→「電話とモデム」である。
「電話とモデム」の情報では,「Kyocera PS Modem Port」は「COM4」。これを H"問屋 に設定してみたところ通信に成功した。
H"問屋 を使って CSV エクスポートしたところ,出力されたデータの項目は次のようになった。
グループ,種別,名前(漢字),名前(カナ),電話番号1,電話番号2,電話番号3,電話番号4,電話番号5,電話番号6,メールアドレス1,メールアドレス2,メールアドレス3,メールアドレス4,メールアドレス5,メールアドレス6,シークレット
BAUM に登録されているのは,電話番号が最大3個,メールアドレスも最大3個なので,フィールドとしては十分なように思える。しかし,電話番号種別を「仕事」として登録してある場合は CSV 出力されないことが分かった。これは使えない (BAUM では電話番号を「PHS」「携帯電話」「自宅」「仕事」「学校」「その他」に種類分けできる)。
参考までに,BAUM の電話帳データ項目は次の通り。
グループ,名前(漢字),名前(カナ),電話番号1,電話番号種別1,電話番号2,電話番号種別2,電話番号3,電話番号種別3,メールアドレス1,メールアドレス種別1,分計設定,メールアドレス2,メールアドレス種別2,メールアドレス3,メールアドレス種別3,住所,住所種別,URL,血液型,誕生日,星座,趣味,メモ,画像,シークレット,着信設定
「分計設定」というのはついに使わなかったが,これは別途申し込みが必要な「料金分計サービス」の項目である。その他,「住所,住所種別,URL,血液型,誕生日,星座,趣味,メモ,画像」の項目も H"問屋 の CSV エクスポートには不足している。
「京セラPHSユーティリティソフトウェア」という Windows 用のソフトウェアがある。 HONEY BEE BOX(ハニービーボックス)用となっているが,BAUM でも使える。このソフトウェアで保存できる電話帳データの形式は *.kkc である。
KKC 形式は京セラ独自のデータ形式だが,データ構造を解析してテキストデータに変換するツールを公開してくれている方がいる (~uratan/hb/)。これはありがたい。データ項目は不足なくすべて出力される。
これを加工すれば電話帳データを移行することができそうだ。
Posted by n at 2016-04-17 22:12 | Edit | Comments (10) | Trackback(0)
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PHSからスマホの移行で同じ問題にぶつかりました。
Posted by: taishi at November 06, 2016 18:33しかし、他のガラケーに一旦赤外線で送信してガラケー内で勝手にvcfファイルに
変換してくれたので、これをメール添付で簡単に移行できました。
taishi さん
Posted by: n at November 09, 2016 04:53それは思いつきませんでした。情報ありがとうございました。
h"問屋をどこかアップロードして頂けますか。宜しくお願い致します。
Posted by: 困った at March 01, 2018 07:43困った さん
Posted by: n at March 02, 2018 04:18H"問屋を置きました。ユーザ名は困ったさんのメールアドレスの@より前,パスワードはメールアドレスになっています。
http://nlogn.ath.cx/archives/requested/HTonya104.exe
こんばんは、当方現在WX320Kを利用中です。
Posted by: ぴ at April 21, 2018 00:443月駆け込みで持込新規契約のWX334Kに電話帳データのバックアップをと思い立ちましたが、投稿されているような「問題」にぶつかっております。
WX300付属のセットアップCD内のフォルダなどをあれこれいじっておりますが、途方に暮れております・・
ぴ さん
Posted by: n at April 23, 2018 21:13WX320K の電話帳データを WX334K に移すのであれば,「京セラPHSユーティリティソフトウェア」でできるようですよ。
https://www.kyocera.co.jp/prdct/telecom/archive/lineup/wx334k/faq/index04.html
n様
Posted by: ぴ at April 25, 2018 22:59コメント返信をありがとうございます。
当方のpc環境はos9(いわゆるシェル型ibook)及びos10(macbook pro)です。
京セラドライバーソフトをmacbook proのハードディスクの所定位置に配置の上、「京セラPHSユーティリティソフトウェア」をダウンロード後、
exeファイルを開けようと試みたところ、以下のメッセージで作業が止まりました。
「書類“JP_SETUPV260.exe”を開けませんでした。テキストエンコーディング Unicode(UTF-8) には対応していません。」
そもそものpc環境に「難あり」ですか、ね・・
追記です。
Posted by: ぴ at April 26, 2018 00:30「京セラPHSユーティリティソフトウェア」がwindowsのみ対応と知っての「悪あがき」ではありますが・・
追記です。
Posted by: ぴ at April 26, 2018 00:31上記が「京セラPHSユーティリティソフトウェア」がwindowsのみ対応と知っての「悪あがき」ではありますが・・
ぴ さん
Posted by: n at April 27, 2018 14:24「京セラPHSユーティリティソフトウェア」は32ビットWindows用のプログラムですね。対応OSはWindows 7までとなっていますが,多分Windows10でも大丈夫でしょう。
難易度高めですが,Macでもフリーの範囲で動作させることはできると思います。
1. Windows Insider Program に登録
2. Windows Insider Preview で Windows 10 (32-bit) をダウンロード
3. Mac に VirtualBox をインストールして仮想マシンに Windows 10 をインストール
http://nlogn.ath.cx/archives/001777.html
4. VirtualBox 上の Windows 10 に「京セラPHSユーティリティソフトウェア」をインストール
頑張ってみてください。