「いち」から「じゅう」まで数えるのと,逆に「じゅう」から「いち」まで数えるのでは,呼び方が違う数がある。
「いち」から「じゅう」まで数を数えるのに,私は「いち,に,さん,し,ご,ろく,しち,はち,く,じゅう」と言う。反対に,「じゅう」から「いち」まで数えるとき,「じゅう,きゅう,はち,なな,ろく,ご,よん,さん,に,いち」となる。このとき,ゆっくり数えるのではなく,できるだけ早く数えるようにすると,自分が無意識に使っている数え方が分かる。上りと下りでいくつか呼び方が違う数がある。まとめると次のようになる。
↓ ↓ ↓ |
いち | 1 | いち | ↑ ↑ ↑ |
に | 2 | に | ||
さん | 3 | さん | ||
し | 4 | よん | ||
ご | 5 | ご | ||
ろく | 6 | ろく | ||
しち | 7 | なな | ||
はち | 8 | はち | ||
く | 9 | きゅう | ||
じゅう | 10 | じゅう |
「4」「7」「9」の呼び方が違っている。「10」を「とお」と読めばさらに違う数が増えるが,私はそう読まない。周りの人に聞いてみたところ,上りのときに「7」を「なな」と呼ぶ人や,下りのときの「9」を「く」,「7」を「しち」と呼ぶ人もいた。しかし,「4」だけは,上りのときに「し」下りのときに「よん」と言うのは皆そうだった。
なぜ違うのかの理由は不明。単に言いやすいからだろうか。地方によっても違うのかも知れない。
かけ算の「九九」は「ししちにじゅうはち」「しくさんじゅうろく」などで,上りの読みとなっている。
後ろに「本」をつけると,「いっぽん,にほん,さんぼん,よんほん,ごほん,ろっぽん,ななほん,はっぽん,きゅうほん,じゅっぽん(後述)」となるので,下りの読み方と同じになる。ただし,助数詞をつければ必ず下りの読み方になるかと言えば,そうでもない。後ろに「月{がつ}」をつけた月の呼び名は,「いちがつ,にがつ,さんがつ,しがつ,ごがつ,ろくがつ,しちがつ,はちがつ,くがつ,じゅうがつ」で,上りの読み方と同じになる。他にも,黒船が来たときに読まれた句「泰平(太平)の眠りを覚ます蒸気船たった四杯で夜も眠れず」では「四杯」を「しはい」と読んでいるという例もある。ただし,これは字数の関係で無理やり「しはい」と読んでいるという可能性もある。ちなみにこの句は,蒸気船が四隻来て眠れないというのと,お茶の「上喜撰」を四杯飲んで眠れなくなってしまったというのを掛けてあるのだそうだ。
上で「十本」を「じゅっぽん」と読んだが,正しくは「じっぽん」と読む。中学生の時に,国語の先生が『「七時五十分」は「しちじごじっぷん」と読む。「ごじゅっぷん」という読み方はない』と教えてくれた。私は,間違っているのを知りながら,ついつい「じゅっぷん」とか「じゅっぽん」とか言ってしまっているだけである。マネしてはいけない。
Posted by n at 2005-11-27 01:41 | Edit | Comments (7) | Trackback(2)
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そういえば上りと下りでは数え方が違うと、この記事を読んで初めて気付きました。
Posted by: ボブ at December 08, 2005 12:24何故違うのか気になりますね。
あと、英語は「4」と言ったら「four」だけなのに、日本語は「よん」や「し」と読み方が複数あるのも気になりました。
「じっぽん」、頭ではわかっていますが、どうしても言いやすい「じゅっぽん」を使ってしまいますw
簡単ですが記事を書きましたので、TBさせていただきますね。
はじめまして。
わたしも数えてみたら、確かに違ってました。でも、超高速で数えようとすると、上りも「よん」「なな」を使います。不思議だ。
あと、これを読んで、音楽の短調の音階が、上りと下りで違うのを思い出しました。関係ないですが。実は関係あるのかな?
Posted by: 幸之介 at December 11, 2005 03:20幸之助さん
Posted by: n at December 12, 2005 01:22おお,そうきましたか。旋律的短音階というやつですね。
旋律的短音階は日本語とは関係ありませんが,流れで変わるというのは似たような感じを受けます。
数のかぞえかたは,上りが古い言い方で,下りが新しい言い方なのだそうです。旋律的短音階は,上りが歴史的には新しく,下りは古い自然短音階ですから,対応させると逆になりますが。
おー、新旧という軸は新たな知見ですね。
Posted by: 幸之介 at December 13, 2005 01:55触発されてひとつ書いてしまいました。
http://knoa.jp/memo/?id=2005-12-13+01:53
実は「じっぽん」も不思議な言葉なんですよね。
「きゅう」+「ほん」は「きゅうほん」。
「じゅう」は元来「じう」の訛だから「じゅっ」ではなく「じっ」だ、という説にしても、
それでは「じう」+「ほん」なので「じうほん」が成り立ちます。
そこから変化するという立場では、「じっぽん」と「じゅっぽん」は先入観を外すとどちらが優位なのか。
ともかく「きゅっぽん」との比較をしないのは手落ちですよね。
Posted by: ない at December 14, 2005 08:16「十」は「jip」に近い音
「九」は「kiu」に近い音
だったようです。この手のことは「言語学大辞典」などの文献にあたるのがいいのですが,手元にありません。
Web サイトでは,次が参考になりそうです。
Posted by: n at December 16, 2005 23:03http://homepage3.nifty.com/park/juku/omosiro3.htm
遅レスすみません。
Posted by: よんななきゅう at April 28, 2006 15:52「よん」、「なな」、「きゅう」が数としての読み方です。「し」、「しち」、「く」は慣用表現だけです。0.1234 は「れいてんいちにーさんよん」と読みます。「れいてんいちにさんし」では突然かけ声になってしまいます。