自己評価の方法は,他人が評価する方法とは違う。他人と同じ方法で自分を評価してはならない。
自分に能力がないことに気がついたのがちょうど2年前(nlog(n): 自分の能力がないことを認識してみようか)。この問題について決着がついたので以下で詳しく述べる。
テストの結果が70点だったとする。2年前の私は,評価点が70点ということは,自分の能力が理想の70%しかないのだと思っていた。全然ダメが「真っ黒」,完璧なら「真っ白」だとすると,70点は「薄めの灰色」である。
他人を評価する場合はこれでよい。しかし,自分自身の評価としては間違っている。
10個の設問からなる100点満点のテスト問題があるとしよう。各問の配点はそれぞれ10点ずつである。
テスト結果が70点だったとする。確かに全体の70%しかできていない。成績表には70点と書かれるだろう。これは他人が私のことを評価した場合である。
テストの結果をよく見てみると,不正解が3問,正解が7問になっている。そんなことは見れば明らかだ。何が言いたいかというと,間違った3問以外は,完璧にできているということである。他に70点をとった人がいたとしても,その人は私とは違うところを間違っているかも知れない。つまり,同じ評価点であっても,内容は違うということだ。
テスト結果を見て,「あー70点か,こんなもんか,終了。」ではいけない。「これはできて,これはできなかった」と認識すべきである。自分の能力が全体的にボンヤリと70%なのではない。完璧にできたところが70%と,全くできなかったところが30%あるだけなのだ。
テストによって,自分は何ができて,何ができないのかが明確になる。できなかった部分については,努力が足りないのか,能力がないのか,どちらかということになる。努力が足りないのであればやり直せばよい。では能力がない場合はどうか?
能力がない場合,そのことに時間をかけてはいけない。捨てるのである (ドラッカー「プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか」)。私には努力してもできないことがある。しかし,他人よりできることもある。学校のテストは与えられた問題を解くしかないが,実社会ではそうでないことも多い。自分でテストを作ることができるのだ。フィギュアスケートのプログラムがそうだ。自分が苦手な技は最小限に抑え,得意な技は最大限にアピールするプログラムが作れるのだ。そのプログラムでは,ミスをせず,自分の力が100%発揮できたときに100点がとれるのである。
テストというものは嫌なものである。自分の評価が出てしまうからである。しかし,自分の強い点と弱い点が自分で見えるということは,よいことでもある。今後の改善に役立てることができるからだ。
自分自身の評価を見直そう。自分の正しい評価は自分にしかできないのだ。
2009年3月4日追記:
努力しても上達しない場合,すぐに能力がないと判断するのは危険です。努力の方法が間違っているからかも知れないからです (nlog(n): 片足では遠くまで行けない)。
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能力が無い場合は・・・どうなんでしょう?
Posted by: maro助 at July 23, 2006 17:05この場合の能力とは?
才能?努力? 努力出来るって事も能力?
ん・・・なんだか ハマってしまって・・・
maro助さん
この場合の「能力」は,「努力すればできること」のことを言っています。努力できるということは,能力には含みません(ややこしくなるので)。
能力がない場合は,努力するのは諦めます。まとめると
1. 自分の能力について直視する
2. 努力してもできないことがあるのを認める
3. 努力してもできないことはスッパリあきらめて,努力すればできることだけをやる
となります。
「自分に能力がない」を「自分は,全体的に何となく能力がない」と捉えるのではなく,「自分には,これとこれの能力がない」と捉えることが大切だということを,この記事では言いたかったのです。
Posted by: n at July 23, 2006 21:03なるほどです ありがとうです☆
Posted by: maro助 at July 24, 2006 22:01では もう1つ良いですか?
才能とはなんでしょう?
自分がその言葉に持つイメージなのですが
どうにも 能力って言葉には力があって・・・
なんだか 受け止め切れなくて・・・
いろいろ書きましたが・・・
Posted by: maro助 at July 25, 2006 02:00どうやら オイラの思い込みで読んでいたようで・・・ww
maro助さん
Posted by: n at July 25, 2006 22:55私は,「頑張ってやればそのうちできるようになる」と信じていました。しかし,これは間違いでした。頑張ってもできないことはあるのです。
頑張ってもできないことは,それ以上やってはいけないのです。その代わり,自分の得意なことを今まで以上にやるべきです。
ここでは才能については考えていません。才能とは何なのかが私もよく分かっていないのです。