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Linux TeraTerm + C-Kermit でファイル転送

TeraTerm でサーバに接続しているとき,ファイルをサーバからダウンロードしたいことがある。小さいファイルなら Kermit が使える。

■ ■ ■

はじめに

Kermit は,独自のファイル転送プロトコルを備えた端末ソフトである。端末パソコンの OS が MS-DOS の時代,Kermit にはかなりお世話になった。しかし,Windows になってからは kermit を使うことはなくなっていた。しかし,今でも使える Kermit,結構便利だ Kermit,セサミのカエルも Kermit,なので見直すことにした。

Windows パソコンで Linux サーバの管理をしている人にお勧めしたい。

ここでは,Kermit を端末ソフトではなく,ファイル転送ソフトとして扱う。例えば次のような使用法を想定している。手元にあるのは Windows パソコンで,TeraTerm で Linux サーバに接続しているとする。サーバにある設定ファイルを Windows パソコンにダウンロードしたいことがある。ダウンロードしたいときというのは,バックアップしたい,印刷したい,ブログに貼り付けたい,サーバで作った証明書をパソコンに保存したい,などの理由が考えられる。こんなとき,普通は FTP クライアントを起動してサーバに接続することになるが,時間も手間もかかる。もっと手軽にできないか,そんな場合である。幸いにして TeraTerm は Kermit プロトコルをサポートしている(Tera Term Home Page)。使い方も簡単だ。

インストール

Kermit を Linux サーバにインストールする。プラットフォームによってはインストールパッケージも提供されているが,最終的にインストールするのはバイナリファイル1つだけなので,ソースから make してしまうのがよい。

インストールするのは C-Kermit である。Columbia 大学で開発されている Kermit の実装である。C-Kermit 8.0 からソースコードをダウンロードする。例えば,今のバージョンならこんな感じ。

$ wget ftp://kermit.columbia.edu/kermit/archives/cku211.tar.gz

このまま展開すると,カレントディレクトリに沢山のファイルができてしまうので,作業用のディレクトリを作るのがよい。

$ mkdir kermit
$ cd kermit
$ tar zxf ../cku211.tar.gz

展開したら make する。

$ make linux

コンパイルが終了すると,wermit という実行ファイルができる。これが kermit の本体である。インストールも make でできる。

# make install

これで wermit という実行ファイルが kermit にリネームされて,/usr/local/bin にコピーされ,マニュアルページ kermit.1 が /usr/local/man/man1 にコピーされる。

展開したファイルはもう不要なので,削除してしまおう。

$ cd ..
$ rm -r kermit

インストールはこれで完了である。

使い方

TeraTerm で Linux サーバに接続していて,サーバにあるテキストファイル httpd.conf をダウンロードしたいとする。起動時に「-P」オプションをつける。このオプションがないと,ダウンロードしたファイルの名前が全部大文字になってしまう。

$ kermit -P
C-Kermit 8.0.211, 10 Apr 2004, for Linux
 Copyright (C) 1985, 2004,
  Trustees of Columbia University in the City of New York.
Type ? or HELP for help.
(/etc/httpd/conf/) C-Kermit>send httpd.conf
Return to your local Kermit and give a RECEIVE command.

KERMIT READY TO SEND...
9 S~/ @-#Y3~^>J)0___N"U1@G

send コマンドを入力した後,変な文字列が表示されたら,送信準備完了である。C-Kermit はファイル名補完に対応している。最初に数文字入力したら「Tab」キーを押せばよい。長いファイル名を入力しなくてもいい。

TeraTerm での受信
TeraTerm での受信


TeraTerm では,「File」→「Transfer」→「Kermit」→「Receive」で受信できる。受信されたファイルは,TeraTerm がインストールされているフォルダに保存される。保存先をデスクトップに変更できるといいのだが,できないようなので,必要ならば TeraTerm のフォルダへのショートカットを作ることで我慢する (Windows Vista では C:\Users\(ユーザ名)\AppData\Local\VirtualStore\Program Files\teraterm フォルダに保存される)

ファイルをアップロードしたい場合は,Kermit 側で send の代わりに receive と入力して待ち受け状態にし,TeraTerm 側で Send すればよい。

Kermit のデフォルトの転送モードはテキストモードのため,ファイル転送時には,Linux の改行コードは MS-DOS の改行コードに変換される。バイナリファイルの送受信をしたい場合は,Kermit の起動オプションに「-i」をつける。うっかり付け忘れて起動した場合は,Kermit の中でも変更することができる(テキストモードに戻すには,「binary の代わりに text」とする)。

C-Kermit>set file type binary

Kermit の終了は,quit または exit で行う。

C-Kermit>quit

いちいち起動オプションをつけなくてもいいように,いつも使うオプションはシェルのエイリアス指定をしておくと便利である。bash であれば,~/.bashrc に次のように書いておく。

alias kermit='kermit -P'

「-i」をデフォルトにするかどうかはお好みで。Kermit には膨大なコマンドと起動オプションがある。詳細は kermit マニュアル (kermit manual page) にある。

思い返せば,この方法は Linux 管理者にお勧めの方法だった。管理者に make からの説明は不要だったな。あー失敗。

2010年12月21日追記:
システムを入れ替えたときには,make の手順をそのまま行う必要があるので,盲目的にやるには make からの説明があると非常に楽であることが分かりました。仕組みを知っている管理者に対しても,手順を書いておくことは有用です。

Posted by n at 2006-12-21 00:49 | Edit | Comments (0) | Trackback(0)
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