「ちょっとマイウェイ」DVD-BOX を懐かしい思いで観た。昔の名前で出ている人もいたりして,新たな発見もあった。
昨年2006年4月,「ちょっとマイウェイ」が DVD になって発売された。販売元の vap に公式サイトが開設されている (ちょっとマイウェイDVD-BOX)。「ちょっとマイウェイ」は1979年から1980年にかけて日本テレビ系列で放送されたホームドラマである。人気があるドラマだったのに,ビデオ化されることはなかった。DVD 化された背景には根強いファンからの要望もあったようだ (「ちょっとマイウェイ」DVD化 リクエスト署名)。元モーニング娘。の安倍なつみの名前は,このドラマの主人公である「浅井なつみ」からとったそうだ。母親がドラマのファンだったからだという。「ちょっとマイウェイ」は土曜日の夜9時に放送された。この放送枠の前の番組は「熱中時代・刑事編」,後の番組は「池中玄太80キロ」であった (ちょっとマイウェイ - Wikipedia)。
「ちょっとマイウェイ」は,桃井かおり,結城美栄子,八千草薫が扮する三姉妹が経営する代官山にあるレストラン「ひまわり亭」を舞台に,彼女たちと従業員が織り成す人間模様を描いたコメディタッチのドラマ。全25話。
昨年 Amazon で購入し,ようやく見終わった。
舞台は1980年の東京。代官山は,渋谷から1駅離れただけだが,渋谷のような賑わいはなくひっそりしている。現在のおしゃれになってしまった代官山の昔の姿である。1980年代くらいで最後ではなかろうかという,4畳半の和室が下宿になっている場面もでてくる。もちろん今でも「4畳半の下宿」は存在する。しかし,最近のホームドラマには絶対にない設定である。ドラマは基本的にセットでの撮影だが,たまにロケもある。当時の街が,ちらりとではあるが映し出される場面もある。
25年以上前に作られているので,当然といえば当然だが,出演陣が若い。「なつみ」役の桃井かおりの髪の毛はつやつやで肌はぴちぴちである。着ている服もセンスがいい。厨房での白衣姿も素敵。お尻の形なんかも良くて「おーっ」である。「カツ子」役の研ナオコはモテない役だが,とても綺麗。岸本加世子も可愛い。
代官山駅の改札は,セットではあるが実物が再現されている。当時の代官山駅はとても狭かった (代官山駅 - Wikipedia)。ホームも短くて,上り電車の最後尾はトンネル内で止まったため,車両のドアが開かなかった頃である。改札はまだ自動になっていなくて,駅員が鋏できっぷを切っていた。その場面もある。駅員は,なつみの2番目の姉のご主人である。
「ひまわり亭」の奥には電車が見える。電車のパンタグラフが電線に触れて火花が「バチバチ」と散る様子も再現されている。この電車は,セットの中で人が引っ張っていたそうだ (DVD ボックス特典プレミアムディスクより)。駅が近いこともあって,電車はゆっくりと進む。電車が通り過ぎる場面は,何故か毎回ある。
ドラマを見ていて一番気になったのは,喫煙者が多いことである。いけないのは,レストランの厨房の中でも吸ってしまうことだ。しかも,出演者の大部分が吸ってしまう。厨房に出入りする人のうち,吸うのは,なつみ,カツ子,堀田さん,常夫くん,米沢くん,和子さん。吸わないのは,朋子ねえさんと真弓ちゃんだけなのだ。厨房に出入りしない人で吸うのは,定夫にいさんと満くんの2人。吸わないのは,伸江ねえさんとケツニである。レギュラー出演人12名のうち,8名が吸うのだから多すぎである。時代を感じさせる設定である。
ドラマを観ていて困るのは,声の大きさに幅がありすぎることである。小さな声と大きな声の音量が違いすぎるのだ。桃井かおりと研ナオコが部屋でボソボソ話すときの声は小さい。しかも,聞き取りづらい。何を言っているのか分からないことが多く,ついボリュームを大きくしてしまう。しかし,これが命取りになることがある。場面が変わると,大きい声を張り上げて登場する人物がいるのだ。峰竜太と神田正輝である。声デカ過ぎ。その声で子供が起きて泣き出すのが困る。
「この人どこかで見たことがある・・・あっ,この人は!」という俳優がいる。
第9話「やせたい人への特製ランチよ」には,「バーの客」として阿藤海が出ている。
(「ちょっとマイウェイ」DVD-BOXより)
阿藤海は,なつみとカツ子に絡むバーの客の役である。細いヒゲをはやしている。
(「ちょっとマイウェイ」DVD-BOXより)
あまりにちょい役なので,クレジットされていないかと思ったが,確認したら名前があった。氏は2001年11月14日に阿藤海から阿藤快に改名している (阿藤快 - Wikipedia)。「昔の名前で出ています」である。
このドラマの出演について,阿藤海が何か言っていないか気になったので,彼の自伝を読んでみることにした。阿藤海「この熱き人たち」 である。桃井かおりについても書いてある。桃井かおりとの初仕事は,「太陽にほえろ!」で,2人でヒッピーの役で出たのだそうだ。松田優作が起用されたばかりの頃だとあるから1973年頃である。次は,神代辰巳監督の「青春の蹉跌」(1974年) (青春の蹉跌 - goo 映画)。その後はずっと飛んで,読売テレビの木曜ゴールデンドラマ「喝采」(1988年) になってしまう。1979年に「ちょっとマイウェイ」で競演したことについては触れられていなかった。残念。公式ページのプロフィールにもない (阿藤快 公式ウェブサイト)。
第19話「女を売り物にしないわよ」には,北村総一朗が出ている。なつみとカツ子にガラスを割られたブティックのオーナー役である。最近は「踊る大捜査線」の署長役の印象が強い (北村総一朗 - Wikipedia)。当時は今よりも痩せている。しかし,演技の質は今と変わっていない。
このドラマにゲストで出演し,その後亡くなられた人もいる。
阿藤海も出演している,第9話「やせたい人への特製ランチよ」には,滝田ゆうがゲスト出演している。滝田ゆうは漫画家である。当時は,「欽ちゃんのどこまでやるの」の何かのコーナーの絵を描いていたように思う。最初は絵だけだったが,本人のキャラクターが面白いので出演するようにもなっていた。1990年に58歳で亡くなっている (滝田ゆう - Wikipedia)。
「欽ちゃんのどこまでやるの」と言えば,食事の順番を当てる「推理クイズ」や,吉岡たすくの「小さいサムライたち」のコーナーを思い出す。ダイジェストのDVDが出ているようだ (欽ちゃんのどこまでやるの! DVDボックス: TVバラエティ, 萩本欽一, 小堺一機, 関根勤, わらべ, 真屋順子, 斉藤清六)。
第10話「またメチャメチャになっちゃうよ」には,シンガーソングライターの大塚博堂がゲスト出演している (大塚博堂 - Wikipedia)。なつみの昔の恋人で,ジャズピアニストの役である。大塚博堂は1981年に37歳で亡くなっている。「ウルトラマン」の隊長や「仮面ライダー」のマスターが印象的だった小林昭二もこの話に出演している。小林昭二は1996年に65歳で亡くなっている (小林昭二 - Wikipedia)。
第6話 「オレンジシャーベットサービスよ」にゲスト出演した加藤嘉は1988年に76歳で (加藤嘉 - Wikipedia),第23話「女の好奇心が燃えたのよ」のゲスト竜崎勝は1984年に44歳で亡くなっている (竜崎勝 - Wikipedia)。
ちょっとマイウェイ - Wikipedia の関連項目には,次の記述がある。
爆笑問題・・・メンバー二人ともこのドラマの大ファンであった。日大時代に後の太田光夫人(松永光代)にその話をしたところ、「私、その番組に出てた」と返事があり、二人ともビックリしたそうだ。
しかし,松永光代がどこに出演していたかは確認することができなかった。計算すると,当時は15歳ということになるが,この年齢の出演者はないのだ。子役は小学生,その上は大学生になってしまう。第19話「女を売り物にしないわよ」では,熊谷美由紀が高校生役で出ているが,この回に出ている女子高校生は彼女だけなのだ。
DVD-BOX にはプレミアムディスクという特典の DVD が入っていて,桃井かおりと研ナオコの対談が収録されている。「手で引っ張る電車」や「水が出なかった噴水」などの裏話や,「奥行きのある」珍しいタイプのセットで,カメラワークに工夫があることなどの撮影の苦労などが語られる。
このドラマをリアルタイムで見ているのは,今の40歳代以上になるだろうか。お勧めのドラマである。懐かしすぎて涙がちょちょ切れること間違いなしである。
「ちょっと」だけ書くつもりだったのに,すんげく長くなってしまった。
2015年12月11日追記: 阿藤快は2015年11月14日の誕生日に69歳でお亡くなりになりました。
Posted by n at 2007-12-11 23:33 | Edit | Comments (1) | Trackback(0)
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中学生でした。土曜の夜、勉強を休んで見入っていました。新潟ではそのあとプロポーズ大作戦があり、土曜の夜はほんのり楽しい時間でした。主題歌も好きでしたよ。
Posted by: とも at January 25, 2008 22:35