corega の無線 LAN アクセスポイント CG-WLR300NNH を購入したが,捨てたくなった。購入してみて後悔したときのタイトルは「購入したんだがレビュー」でどうか。「したのだが」でないところにちょっとインフォーマル感を込めて。
自宅の無線アクセスポイント (AP) として長年 BUFFALO WLAR-L11-L を使ってきたが,この AP は暗号化方式が WEP しかなく,セキュリティ的には甘い。調子が悪くなることも出てきたので,買い替えをすることにした。
選んだのは,corega の現時点 (2009年6月22日) での最高峰,CG-WLR300NNH である (「CG-WLR300NNH」商品情報 | コレガ)。kakaku.com での評判も上々 (価格.com - COREGA CG-WLR300NNH レビュー・評価)。
今回は Amazon から購入した。
電波が強くて速度も速いスペシャルプレミアムモデルである。しかし,機能的には中途半端で捨てたくなった。
これを選んだ理由は以下の特徴を備えていたからである。
価格の低い機器だったら問題があるかもしれないが,最高峰というのだから大丈夫だろう。…と思ったのである。普通はそう思うものだ。
ここでのファームウェアは最終更新日2009年7月17日の初版である Ver. 1.00 である (CG-WLR300NNHファームウェア更新履歴)。
CG-WLR300NNH には,普通のブロードバンドルータと同様に,ブリッジモードとルータモードがある。我が家のネットワークでは,DHCP サーバは Linux マシンがやっているので,ブリッジモードにして起動したのだが,PC は DHCP で IP アドレスが取得できない。有線でも無線でも同じ。有線接続して,自分で IP アドレスを設定すると通信できる。接続は間違っていないということだ。DHCP だけが届かないのだ。これに関しては,以前はできていたが突然できなくなったという報告がある (シンプルデジタルライフ: 無線ルータ11n化その3−CG-WLR300NNH−DSとルータ機能)。私の購入した機器では一度も成功していない。
では DHCP で IP アドレスを配るにはどうすればいいのか? 自身が DHCP サーバになるしかない。ということは,ルータモードで起動するしかないということになる。結果的に,無駄に多段ネットワークになってしまう。ブリッジモードで起動すると CG-WLR300NNH は単なるスイッチになるので DHCP サーバの設定項目は表示されないが,ルータモードにして起動すると DHCP サーバの設定項目が表示されるようになる。
CG-WLR300NNH をルータモードで起動して,WAN 側の IP アドレスを 192.168.0.0/24 レンジの中で1つ割り当て,LAN 側のネットワークを 192.168.1.0/24 にして DHCP サーバを有効にしたところ,接続した PC は IP アドレスの取得に成功しあっさりと接続できた。よくわからないが,「一番よくある接続のパターン」であれば動作するようだ。ありそうでないパターンを設定すると,地雷を踏むことになる。
ルータモードなら動作するので,それならばネットワークの一番上流に CG-WLR300NNH を持ってくればいいかというと,そうでもない。ルーティングテーブルの設定ができないからである。設定項目自体がないのだ。「ルータモード」では,自機がルータとなることを想定しているが,自機の LAN 側にルータを接続することを想定していない。今まで NEC, Fujitsu, BUFFALO, I-O DATA などのブロードバンドルータを設定してきたが,ルーティングテーブルの設定ができない機器は初めてである。これには驚いた。
もともと自宅内ネットワークはフラットにするつもりだったのだから,一番上流に持ってくればいいじゃないかという考えもあるが,上で見たようにブリッジモードでは DHCP を通さないし,ルータモードだと ADSL モデムとの間に無駄なネットワークができてしまうし,そもそも仕様通りに動かないようなものを最上流に置く気は起こらないのである。
いいところもある。DHCP サーバ機能を有効にした場合,接続しに来て IP アドレスを割り当てた機器の MAC アドレスがリストアップされ,それぞれについて簡単に「IP アドレス固定 DHCP 割当」ができることだ。つまり,例えば「この PC は DHCP で IP アドレスを取得するようにしておくが,必ず同じ IP アドレスになるようにする」という設定が簡単にできる。「簡単に」というのは,12桁の MAC アドレスをいちいち入力する手間がないということである。
スループットばかりが評価の対象になっていて,機能に対する評価が抜け落ちている。そもそも,価格.com のユーザーレビューの評価項目が (1) 見た目のよさ、質感,(2) 設定は簡単にできるか,(3) 受信感度のよさ,(4) 付加機能・セキュリティ機能など,(5) 省スペース性・コンパクトさ,の5つしかないのだから仕方がない。仮に「(6) 設定できる機能」を項目に追加したとしても,普通の人はルーティングテーブルの設定など必要がないので,「DHCP 設定が簡単だったから5点」などとなってしまうだろうから,やはり当てにはならない。上記5つの項目に入れるのなら (4) だろうが,ブロードバンドルータのルーティングテーブル編集は基本機能であって付加機能ではない。
メーカーはいいところしか宣伝しないから信用できないし,クチコミを発信しているほとんどはスピード命だから信用できない。「じゃあ,何を信用しろっていうんだよ!」という感じではある。プロっぽい人のレビューが欲しいんだよ。BB Watch のレビューもあるが,この点についての指摘はない (【清水理史の「イニシャルB」】 第355回:11a/b/g/n同時通信に加えDLNAにも対応した無線LANルータ -BB Watch)。
CG-WLR300NNH は電波や速度は最高かもしれないが,クソで最低である。
Posted by n at 2009-12-16 06:37 | Edit | Comments (0) | Trackback(0)
Master Archive Index
Total Entry Count: 1957