「新ウィルコム定額プランS」は基本料金が安い。安い代わりに,気をつけなければならない点がある。W-VALUE 割引がフルに効かないのだ。ウィルコムに問い合わせた内容について残しておく。
先日,月額の基本料が 1,450 円の「新ウィルコム定額プランS」で契約をしたのだが,ほとんど通話のない月の請求金額が 2,190 円もあって驚いた。実は落とし穴があったのだ (nlog(n): 「新ウィルコム定額プランS」の落とし穴)。今回は,その確認のために問い合わせた内容について書いておくことにする。
「新ウィルコム定額プランS」は,「新ウィルコム定額プラン」の基本料が半額のプランである。学生や長期利用者であればこのプランで契約することができる。
Willcom の請求料金が,思っていたより高い。2010年4月分の内訳明細は次のようになっていた。
料金の内訳 | 金額(円) | ご利用期間等 |
新定額S基本料:3年未満 | 1,381 | 4月 1日〜 4月30日 |
※年間契約ご契約期間 | 1ヵ月 | |
通話料 | 240 | |
ユニバーサルサービス料 | 8 | 4月 1日〜 4月30日 |
W−VALUE割引 | -1,621 | 4月 1日〜 4月30日 |
割賦代金(税計算対象外) | 2,190 |
|
※割賦代金請求残高 | 50,370円 | |
◆小計 | 2,198 | |
(内、課税対象額) | 8 | |
■合計 | 2,198 | |
(内、課税対象額合計) | 8 | |
◇次回振替金額 | 2,198 | ■印の金額合計 |
これを見て思ったのが,「新定額S基本料の 1,381 円て安くないか? 学割の基本料は 1,450 円のはず」というのと,「W-VALUE 割引の 1,621 円はおかしい,2,190 円のはず」という2点である。まあ,契約変更時の間違いだろうなくらいに思って問い合せることにした。
料金を問い合せるのであれば,事前に料金の確認をしておくべきだろう。Willcom のサイトに「新ウィルコム定額プランS」のページがある (WILLCOM STORE|★新ウィルコム定額プランS)。「新ウィルコム定額プラン」というのは月額 2,900 円の定額プランのことで,これに「S」がついた「新ウィルコム定額プランS」は月額が半額の 1,450 円のプランのことである。学生であればこのプランで契約することができる。
携帯電話の契約では,「ご注意」にも目を通しておかなければならない。落とし穴が掘ってあることがあるからである。
お申し込みにあたってのご注意事項
※ 当料金コースは、1年間が契約期間(年間契約)となり、お申し出がない限り1年ごとに自動更新いたします。契約期間中に回線の解約や年間契約の解除、または年間契約対象外の料金コースに変更された場合、年間契約解除手数料として、初年度 4,200円、2年目以降は2,100円がかかります。
※ 当料金コースご契約から3年以内に回線の解約、または他の料金コースへ変更される場合は、上記の年間契約解除手数料以外に「新ウィルコム定額プランS」解除手数料として、5,775円かかります。
どうやら,「ご注意事項」は契約解除についてだけのようだ。大丈夫,月額 1,450 円である。
一番下を見ると,「おすすめの電話機」に BAUM がある。料金も分かりやすく書いてある。
W-VALUE SELECT |
新規契約 | 機種変更 |
頭金 | 0円(オプション加入時) | |
実質ご負担額 | ||
全プラン 共通 |
400円/月 | 0円/月 |
機種変更なら月額 0 円である。
この Willcom のページはなぜか ウェブ魚拓 がとれなかったので,画像で残しておくことにする。使用したツールは Firefox の機能拡張 Pearl Crescent Page Saver である。
問い合わせの電話をかけた。オペレーターにつながるまでが難しい。「116」してから「4, 5」である。オペレーターは女性だった。以下で「オ」はオペレーターの略である。
私: 「新定額S基本料が 1,381 円になっているのはなぜですか?」
オ: 「新ウィルコム定額プランSの基本料 1,450 円の税抜き価格となっております。」
私: 「W-VALUE 割引が 1,621 円となっているのはなぜですか?」
オ: 「W-VALUE 割引の金額ですが…?」
私: 「BAUM の場合,W-VALUE 割引の金額は 2,190 円となっていますよ (WILLCOM|W-VALUE SELECT 対象機種・割引額一覧)。金額が違うのではないですか?」
オ: 「WILLCOM STORE|BAUM/WX341K の中ほどの※印の2番目をご覧下さい。『新ウィルコム定額プラン』では利用金額が W-VALUE 割引金額を下回ることはありませんので,この注釈は『新ウィルコム定額プランS』のためのものとなります。」※ご利用金額がW-VALUE割引金額を下回る場合、割引額はご利用金額と同額になります。
私: 「そうであれば,この注釈は『新ウィルコム定額プランS』のサイトに書くべきではないですか?」
オ: 「お客様からの貴重なご意見とさせていただきます。」
私: 「よく分からないので教えて欲しいのですが,使えば割引額が多くなるということは,使った方が請求金額が安くなるということですか?」
オ: 「いいえ,基本料と通話料を含めた料金が 2,190 円に満たない場合,ご請求金額は 2,190 円になります。ですから,2,190 円から基本料の 1,450 円を引いた 740 円分の通話をされるのが一番お得な使い方ということになります。」
私: 「『WILLCOM STORE|★新ウィルコム定額プランS』にはお勧めの機種として BAUM が載っていますし,実質負担額が0円ともなっています。誤解を招くのではないですか?」
オ: 「お客様からの貴重なご意見とさせていただきます。」
私: 「契約時には何の説明もなかったのですが,何とかなりませんか?」
オ: 「大変申し訳ありませんが,いたしかねます。」
この「いたしかねます」というのは,最強な言葉である。名付けるなら「殺し文句」ならぬ「ぶっ殺し文句」だろう。使う方にとっては超便利,言われる方にとっては超嫌な言葉である。ひどいことを言っているのに言い方が丁寧すぎてシビレる。
「お客様からの貴重なご意見とさせていただきます」というのも便利過ぎ。意見は聞くが,それが業務に反映されるかどうかまでは言っていない。聞いたという事実を言っているに過ぎない。「貴重」というのは単に付け加えてある修飾語であって,実際に貴重でなくてもいいのだ。その「貴重な意見」をその場で握りつぶしたとしても,こちらには分からないのだ。
この手の問い合わせ窓口を担当している女性はまったく感情を出さないので,ロボットと話しているのと同じである。必要なことだけを答えてそれで終りにする。こちらとしても,「この人には何を言ってもムダ」としか思えないので,怒りのやり場に困るのだ。こういう無表情な女性を緩衝材として置くのは,企業としての戦略であることが見え見えだが,たとえそれが分かったとしてもどうすることもできないのだ。「責任者呼べ」というのが昔流行ったな。でも多分,責任者を呼んでもなんともならない。
ウィルコムは分かりにくい「※印」の注釈ではなく,実際のモデルケースを例に出して,分かりやすく説明すべきである。私が BAUM で契約したのは「本体代金実質0円,基本料以外の余計な代金がかからないもの」の条件を満たしていると思ったからである。BAUM が気に入って購入したわけではないのだ。実際に販売店での説明もその通りだった。もし事前に「2年間は基本料以外に740円かかります」という情報が得られていたなら,BAUM にしていなかっただろう。少なくとも他の機種の検討はしていたはずだ。
ウェブサイトの「新ウィルコム定額プランS」のお勧め機種に「BAUM」を載せるのはウィルコムの勝手だが,「本体代金実質0円」は誤解を招く。「本体代金実質740円」と表記するか,支払いのモデルケースを出して説明すべきである。
何このダマされた感。なんだか脱力。あー。
「けっ」て感じ。
追記:
新ウィルコム定額プランSで契約する際は,「本体価格がいくらか?」を必ず確認してください。そうすれば,上記のような問題は起こりません。
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