計画停電に備えてサーバをシャットダウンしたところ,再起動不能となってしまった。サーバのハードウェアは ThinkPad。画面に表示されたメッセージは「Fan Error」だった。部品を取り寄せて交換することにした。
このサイトのサーバのハードウェアは ThinkPad T42 である (nlog(n): サーバを ThinkPad T42 に交換)。このサーバは現在4代目で,初代は ThinkPad 560,2代目は ThinkPad 600 (nlog(n): サーバの電源が突然切れる原因が判明),3代目は ThinkPad T22 であった (nlog(n): ThinkPad T22 に Vine Linux 3.1 をインストール) 。
先月から電力不足による輪番制の計画停電が始まったため,事前にサーバをシャットダウンした。すると不幸なことに起動しなくなってしまった。
画面に表示されたエラーは「Fan Error」である。表示後,すぐに電源が自動的に切れてしまう。調べてみると,これは CPU ファンが回らないことによるエラーだった。すぐに電源が切れるのは,ファンが回らなければ CPU を冷やすことができないため,CPU が焼けてしまうからだ。この機種のファンは,CPU とグラフィックチップの両方を冷やしている。
キーボードの外し方を参考にして作業を行い (ThinkPad T42 - キーボード・ベゼル),電源を入れる。ファンが回っていないのが確認できた。
IBM では (すでに Lenovo にはなってしまっているが),部品を個別に発注することができる。ThinkPad T42 では,頻繁にこの Fan Error が発生するようで,同じように部品を注文している人が何人もいる。あちゃぴーさんの記事が大変参考になった (あちゃぴーのThinkPadT42)。ほとんど書いてあるままの通りにすればできる。
ハードウェアの型番は ThinkPad T42 2373-9ZJ である。T42 でもいろいろあるのでマシンタイプの「2373-9ZJ」というのは重要な情報になる。
まずは,壊れたファンの部品番号を調べる必要がある。ハードウェア保守マニュアルが公開されているので (ThinkPad T42 ThinkPad 保守マニュアル),まずはこれで調べる。「2373-9ZJ」のファンアセンブリは「ファン・アセンブリー(ロング) M10」という名称で,部品番号は「13R2657」であることが分かる。
念のため,部品に貼り付けてあるシールに書いてある番号も控えておく。似たような番号が2つ書いてある。「41W5240」と「FRU Fan GL 41W5204」である。
サポートの代表番号 (スマートセンター/レノボ・テックライン) に電話して,部品注文したい旨を告げるとパーツセンターの電話番号を教えてくれる。あるいは,自分で探してもよい。IBM 保証サービス:消耗品について - Japan の「部品販売」がパーツセンターである。
パーツセンターに電話をして,部品の注文をしたいというと,「部品番号をお願いします」といわれる。どの番号を言えばいいのかと聞いたところ「FRU ですね」とのことなので,部品本体に貼り付けてあった2つの型番を告げる。すぐに分かったようだった。注文者の氏名,電話番号,Fax 番号を伝えて電話を切る。注文にかかった時間は3分程度。そっけないが,必要十分なやり取りなので,好印象である。30分くらいしてから,注文票が Fax で送られてきた。
合計金額を三菱UFJ信託銀行の指定口座に振り込んで,その振込票を注文票と一緒に Fax または郵送で返送すれば注文が完了する。しかし,タイミングが悪く,順調にはいかなかった。
まず,みずほ銀行の口座から振り込もうとしたところで中断。みずほ銀行のシステムがストップしたからである (みずほ銀行は22日正午まで窓口業務を停止、店舗内ATMでの入出金は可能 - ニュース:ITpro)。大きな障害だったため,後日,金融庁によって立ち入り検査が行われている (金融庁、システム障害でみずほ銀緊急検査 - SankeiBiz(サンケイビズ))。
そして部品センターである。振込が完了したので,ファックスをしようとしたのだが送れない。呼び出し音は聞こえるのだが,繋がらないのである。「もしかしてファックスの電源を入れてなかったり?」と思って,翌日再度トライするが,状況は変わらなかった。そこで,部品センターに電話して,状況を伝えると「地震で被災したためファックス番号が変わりました」とのこと。注文したのは3月17日で,地震から6日経過していたが,注文票の修正までは手が回らなかったのだろう。新しい番号を聞いてファックスが送信できたのだった。
3日ほどで部品が到着した。部品貼付シールを見ると,壊れたものと全く同じだった。
新旧比較。左が新で,右が旧。CPU に当たる部分には,白い点々で熱伝導グリースが塗られている。そして,両方ともグラフィックチップに当たる部分の熱伝導ゴム上のプラスチック・シートが剥がされていない。新しいのが剥がされていないのは当たり前だが,古いのも剥がされていないのは仕様だろうか? あちゃぴーさんと同じである (あちゃぴーのThinkPadT42)。
ええぃ,剥がしてしまえ。
保守マニュアルには,「剥がせ」とあるが,よく読むと「M10 にはない」とある (ThinkPad T42 - ファン・アセンブリーの取り外しと取り付け)。
長いファン・アセンブリーの場合のみ、システム・ボード に設置する前に、熱伝導ゴム上のプラスチック・シート [b] を剥がす必要があります。M10 にはプラスチック・シートはありません。
剥がしちゃダメだったか? もうシールは捨ててしまった。後の祭り。
ファンアセンブリを交換するには,隠しネジを外す必要がある。隠しネジの部分には,ネジが見えないようにシールで蓋がしてあるのだ。一旦シールを剥がすと,そのシールは使えなくなるので,ファンアセンブリの部品には目隠し用のシールも添付されていたのだった。
いろいろあったが,部品交換で復旧したのは嬉しい。IBM はハードウェア保守マニュアルを公開しているのが素晴らしい。利用者登録をしなければならないメーカーはクソである。パーツを注文できるのはありがたい。古いハードウェアも大切に使い続けていけるというのは,お財布にも優しいし,地球にも優しいのである。
Posted by n at 2011-04-05 23:54 | Edit | Comments (0) | Trackback(0)
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