英語学習で,英単語を「1日に7語覚える」ために「1日に550文を音読する」トレーニングを行っているのだが,結果とそれを得るための途中経過との感覚的ギャップがあり過ぎて戸惑う。
私の英語学習は,現在,旺文社の英検Pass単熟語準1級 の付録を使ってボキャブラリビルディングを行っている段階にある (nlog(n): 「英検Pass単熟語準1級」で語彙増強)。やり方は先日まとめた通り (nlog(n): 若い頃の自分に教えたい英文音読トレーニング法)。
このトレーニングをしていると,実際にやってみるとそこそこ大変なんだけれども,一見するとあまりにも簡単そうに見えるという不思議な感覚に陥る。それは次のようなものである。
実は上の2つは同じことの結果と過程なのである。過程というのは実際に行う作業を意味している。つまり,1日に550文を音読した結果,1日に7単語ずつ覚えていけるということである。もちろん,いったん覚えてもどんどん忘れていくので,定着率を考えると,「1日に3語の記憶」などになってしまうかも知れない。「三百六十五歩のマーチ」のように (古っ!!),「3歩進んで2歩下がる」とすれば (nlog(n): 二歩さがるときには何日かけるのか),「1日に2語を記憶する」ということになってしまい,さらに簡単そうに見えてしまうので,ここでは全部記憶に定着するものとする。
「1日に7語覚える」というのは,一見すると簡単に達成できそうである。ところが,「1日に550文を音読する」という実際に行う作業は,あまりに大変そうなのである。あまりにギャップが大きすぎて,自分でまとめていて目眩がしたくらいである。結果と過程の間には,自分自身も騙されてしまうような大きな隔たりがあるのだ。
ギャップ感を加速する言葉として「だけ」がある。「1日に7語覚える」よりも「1日に7語覚えるだけ」の方がさらに簡単そうに聞こえる。「サッカーのゴールを決めるだけ」「廃炉にするだけ」は,それを達成するための途中経過をすっ飛ばして,結果だけを簡単に提示するための魔法の呪文である。途中にどれほどの時間と面倒な手続きがあるかを考えさせないようにするトリックである。上のトレーニング例では,あまりにあざといので,この方法を使っていない。それでも十分ギャップは感じられる。
ビジネスチャンスというのは,このギャップにあるように思える。「見せる方は騙しているわけではないが,見る方は騙されないように気をつけていても本当に簡単そう見える」のである。誇大広告でなくても,この現象は起きるのだ。通信教育で失敗した記憶がよみがえる…。
上の計算はどう行っているかについてまとめておく。「英検Pass単熟語準1級の付録」は,160ページに1200の例文が収録されている。各例文には学習すべき英単語が1組ずつ入っている。左ページに英文,右ページに日本語訳が書かれているので,80シートに1200語が出てくる計算になる (見開き2ページで1シート)。つまり1シートあたり15の例文が書かれていることになる (1200語÷80シート)。2日で1シートずつ消化していくことにすれば,1日あたり7.5語を覚えていくことになる。中には知っている単語もあるので,「7語」とした。一方,この単語を覚える作業は,1日15シートの各例文を平均2.5回ずつ音読することなので (nlog(n): 若い頃の自分に教えたい英文音読トレーニング法),15文×2.5回×15シート=562.5となり「約550文」になるという計算である。
この感覚的ギャップという錯覚は,「現実をとらえきれない」という点で人間の欠点に思えるが,逆に長所にもなっている。「現実をとらえきれない」からこそ,大変な状況でも楽観的でいられるのであり,「実際にやってみなければ分からない」からこそ,そこに新しい発見があるからである。
Posted by n at 2011-04-20 22:41 | Edit | Comments (0) | Trackback(0)
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