喫煙者にはマナーが悪い人が多い。あれは喫煙者本人が悪いのではなく,煙の中のニコチンがそうさせているだけなのだ。
「罪を憎んで人を憎まず」というのは,孔子とその弟子の言行録である「孔叢子{くぞうし}・刑論」にある言葉である (ことわざ・罪を憎んで人を憎まず)。
喫煙者にはマナーが悪い人が多いという印象がある。歩きながら吸うし,吸殻をポイ捨てするし,缶を灰皿にしてしまう。悪いおこないは罪である。しかし,悪いのはそれをやっている人ではないのだ。やらせているのはニコチンである。つまり,本当に憎むべきはニコチンなのである。
人を刑務所にぶち込むのは,その人自身を直すのではなく,その人の行動を直すためである。「人」と「人の行動」の分離は難しいが,そういう名目になっている。直せないと判断された場合に,初めて罰はその人自身に対するものとなる。
憎むことの反対は,褒めることである。社会的には表彰をするということで褒めるのだが,これもその人自身に対してではなく,その人のやったことに対してになる。対象は,あくまで「こと」なのだ。人間そのものはなかなか褒めてはくれないが,罰も「こと」に対してなされるので,対照的にはなっている。
私はかつては喫煙者だったので,喫煙者の気持ちも非喫煙者の気持ちも分かるが,一般的には双方は分かり合えない。そして,「憎む」感情が生まれるとすれば,それは非喫煙者側である。ここで言いたいのは,もし憎むのであれば,「あの行動はニコチンがさせているのだ」というように「ニコチン」を憎むようにして欲しいということである。そうすれば,「人」に対する感情よりも冷静に対処できるようになるからだ。
タバコ吸いの行動を見て残念に思うのも自分で,その気持ちを鎮める自分の方法はこれだ,というわけなんだけども。
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