「実践ビジネス英語」Lesson 19, Teenagers' Life Lessons at Work から。
NHK ラジオ「実践ビジネス英語」を 音読して味わう 個人的シリーズ第8回。Lesson 19, Teenagers' Life Lessons at Work 「仕事に生かすティーンの人生訓」からピックアップ。
Bill Nissen: Being kind to waitstaff is one of the "first-date" rules my mother taught me. Before I went out, she would remind me that behaving rudely to people like servers in a restaurant was a surefire way of torpedoing any chance of a second date.
ビル・ニッセン: ウェイター・ウェイトレスに温かく接するというのは,母が教えてくれた「初めてのデート」での心得の一つなのです。母は私が出かける前に,レストランのウェイター・ウェイトレスといった人たちに失礼な態度をとれば,2回目のデートのチャンスは間違いなくなくなると,注意してくれたものでした。
Lesson 19, Teenagers' Life Lessons at Work (1)
surefire は「間違いのない,確実な」にあたる口語,torpedo は「台なしにする」という意味で使われている。torpedo はもともと「魚雷」という意味であり (torpedoの意味 - 英和辞典 Weblio辞書),surefire の fire には「発射」という意味があるので,うまく係っている。
Nissen: I still remember my mom saying "Don't be a crybaby." That is, no one likes chronic complainers. They don't want to hear how terrible you day was. They want to hear why it was fabulous. Your date, as well as your boss, will appreciate your high morale and energy.
ニッセン: 母が「泣き事ばかり言わないように」と言っていたのを,私は今でも覚えています。つまり,愚痴ばかり言う人を好きな人などいない,ということです。あなたの一日がどんなにひどかったかなんて,聞きたくはないのです。あなたの一日がどうしてすばらしかったのかを聞きたいのです。上司ばかりでなく恋人も,あなたの高い意欲とエネルギーを評価してくれるでしょう。
Lesson 19, Teenagers' Life Lessons at Work (2)
職場の人間関係を円滑にするためには,日本ではむしろ「自分はどんなひどい目にあったか,どんな失敗をしたか」を笑い話として話すことが多いように思う。「素晴らしかったこと」ばかりを言っていると,あいつは自慢ばかりだとか妙な妬みなどを持たれるのがオチである。アメリカでは違うんだなと思ったが,よく読むと「上司ばかりでなく恋人も」ということで,恋人ならば,日本でも愚痴でない方がいい。上司は微妙だが…。
愚痴っぽい自虐的な笑いというのは,アメリカでも有効なようだ (今回のレッスンのグラフィティコーナー参照)。これは日本とアメリカで共通している。もしかすると,アメリカの標準的な感覚が少しだけ日本よりもポジティブ方向にあるのかも知れない。
上の2つの文例で出てきた date は違う意味で用いられている。最初の "any chance of a second date" の date は日本でもお馴染みの「デート」の意味である。一方で,2つ目の "Your date, as well as your boss" の date は「恋人」の意味である。恋人というのは,つまり「デートの相手」ということである。
「デート」というのは,「日」を決めて会うことに由来しているのだろうが,これに相当する日本語はないのかも知れない。「逢引き」が近いが,これは「ひと目を避けて」会うことなので,通常は夜である。日中に男女がデレデレするのは輸入した文化なのだろう。
Carmen Garcia: By staying out of the loop in your own private world, you lose out on an important part of your career development.
カーメン・ガーシア: 仲間から離れて自分だけの世界にこもってばかりいると,キャリアを伸ばすうえで重要なものを逃すことになるのです。
Lesson 19, Teenagers' Life Lessons at Work (5)
"By staying out of", "you lose out on" というように,out ... out で韻を踏んでリズムを作っている。
Garcia: Well, I guess we were all taught not to take a long lunch time. It's time we all headed back to the office!
ガーシア: あら,昼休みを長く取らないようにと,私たちはみんな教えられましたよね。皆さん,もうオフィスに戻る時間ですよ。
Lesson 19, Teenagers' Life Lessons at Work (5)
今回のレッスンはこの発言で終わっている。色々な人生訓について話してきて,話が長くなりすぎたことを,これまた人生訓で締めるというのはオシャレである。
さて,"It's time" に続く動詞が "headed" という過去形になっていることに気づく。講座では特に解説はなかったが,これは仮定法だから過去形になっているのだそうだ。仮定法になるというのは,「もう〜するべき時間だ(なのに現実にはしていない)」「もう〜していいころだ(なのに現実にはしていない)」というように、行われるべきことが現実に行われていない状況
だからだそうで (仮定法過去:It is (high/about) time S 過去形〜. - RAVCO),「"It's time" ときたら過去」と思ってよさそうだ。
第2回には Kay Breakstone (女性) が次のように言っている。
Kay Breakstone: I could be a bit of a chatterbox, so my mom made a point of telling me to make an effort to listen to my date as much as I talked. Same goes when you're in a business meeting. It's a two way street.
ケイ・ブレイクストーン: 私はちょっとおしゃべりになることがあるので,母は私に,自分が話すのと同じだけ,デートの相手の話を聞くように努力しなさいと,よく言っていたものでした。同じことは,ビジネスの会合にも言えます。双方向のやり取りですから。
Lesson 19, Teenagers' Life Lessons at Work (2)
こんなことを以前にもどこかで聞いたぞと思って,古いテキストをめくってみると,やはりあった。
Alyce Collins: That unfortunate episode underlines the danger of letting alcohol loosen you tongue too much. I like to drink in moderation, but I always make a conscious effort to listen as much as I talk. Even a wee drop can make me chatty. [Chuckles]
アリス・コリンズ: この不幸な出来事は,お酒に任せてしゃべりすぎるのは危険であることを,はっきり示していますね。私はほどほどにお酒を飲むのが好きですが,いつも意識的に,自分が話すのと同じだけ人の話に耳を傾けるように努力しています。ほんの少し飲んだだけでも,私はおしゃべりになってしまいますから。[笑い]
Lesson 16, Office Holiday Party (2) 「年末のオフィスパーティー (2)」
しかし,これを言っていたのはアリス・コリンズで,ケイ・ブレイクストーンではなかった。自分がおしゃべりなことを自覚していて他人の話を聞こうと思っている女性が,この会社には少なくとも2人いることが分かった。
だから何だというのかといえば,同じ人物が同じことをいつも言っているというのは,それはそれで面白いと思ったのである。おしゃべりキャラクターとして確立されているのかと。しかし,調べてみたら違った,そういうことなのである。
上で述べたように,今週のグラフィティコーナーは愚痴っぽい。
Driver carries no cash. He's married.
「運転手は現金を持っていません。既婚者であるため」Lesson 19, Graffiti Corner
これはバスやタクシーの運転手席の後ろで見かけた文句だそうで,「金はないから襲うな」というメッセージである。しかし "He's married." がついていることで,「財布の紐は奥さんが握っているのか…」と読んだ人が思うような余韻を漂わせている。表面的には陽気なアメリカ人も日本人と同じような苦労があるのかと思わせてくれるジョークである。
Posted by n at 2013-01-24 22:39 | Edit | Comments (0) | Trackback(0)
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