これまで手書きしていた年賀状の宛名を,ついにプリンタで印刷してしまうことにした。使用するのは「はがきデザインキット2015」である。
昨年まで,年賀状の宛名は手書きしていた。しかし,今年は思い切ってプリンタで印刷してしまうことにした。小学生のときに年賀状を書き始めて以来,初の試みである。プリンタ印刷に踏み切った理由は,時間がなくなってきたからである。子どもがインフルエンザに順にかかってしまい,予定が丸くずれになったからである。
これまでずっと手書きにこだわってきたのは,表も裏もプリンタで印刷したものにしてしまうと,年賀状というもの自体が記号のようなものになってしまう気がしたからである。正月が来るので形式的に賀状を送るという,事務的・義務的な記号である。
実際に自分がそうやってこだわってきても,送られてくる賀状のほとんどは両面とも印刷になっているので,相手には伝わらない可能性が高い。あるいは,多くの人はすでにこの葛藤について何年も前に決着を着けてしまっているのかも知れない。
さて,宛名をプリンタ出力する場合,相手先の住所を印刷するソフトウェアに登録する必要がある。幸いにして,私は住所等を Excel で管理しているので,これが使えればラッキーである。問題は,Excel に入力してある番地が,半角で「1-23-4」のような形式だということである。これが縦書きになったときに「一の二十三の四」のような漢字になってくれるのかがポイントになる。変換してくれなければ,横書きで妥協するか,あるいはプリンタ出力を諦めるかのどちらかになる。
今回は,日本郵政グループが「郵便年賀.jp」で公開している「はがきデザインキット2015」を利用することにした。無料である。
動作環境は Windows 7 Professional 32bit,Adobe AIR 15.0.0.356,はがきデザインキット2015,プリンタ EPSON EP-302 である。
Adobe AIR ベースのソフトウェアなので MacOS でも動作する。
使うかどうかの決め手となるのは,住所の一括取り込みと,番地の自動変換の機能である。ありがたいことに,これはどちらも可能だった。よかったのは次の点である。
読み込ませる CSV は,正確を期するなら,郵便番号,都道府県,市区町村,番地等,マンション名および室番をそれぞれ別フィールドにして用意する必要がある。どのようなフィールドの形式になっているかを知りたければ,はがきデザインキット上で1件入力しエクスポートしてみればよい。フィールドの数が多すぎてめまいがするほどである。
今回はできるだけ省力化したいので,「都道府県と市区町村はつなげたまま」にして「都道府県」として読み込みを行った。すると,はがきデザインキット上の市区町村は空欄になるが,印刷では表示されるという状態になった (それがいいことなのかどうかは不明だが)。問題としては,インポート後に個別にエントリを開いて敬称を「様→先生」のように変えると市区町村情報が消えてしまうことである (泣)。敬称変更する場合は,個別に開かずに,チェックボックスにチェックして一括変換するとよいことが分かった。
郵便番号は,「123-4567」形式でもインポート可能である。エクスポートすると「1234567」のようにハイフンなしで出力される。
番地等の半角「1-23-4」は,全角「一ー二三−四」に自動変換される。ハイフンも全角に変換される。「23」は「二十三」にはなってくれないが,許せる範囲である。半角のマンション名「Hogehoge荘」は,全角の「Hogehoge荘」に変換され,縦書きなら一文字ずつ縦にに印刷される。
CSV インポートで一括読み込みしたときに一覧ができるが,この一覧は読み込ませた順番ではなく,バラバラになる。「よみがな」を読み込ませれば整列するのだと思われる。
宛名に使えるフォントには制限がある。2015年バージョンは「AR明朝体U」と「AR楷書体M」2つのみ。3種類のときもあったようだ。OS が持っているフォントが使えるとよいのだができなくされている。おそらく,その場合はアプリの方でフォントのメトリックを正確に読み込む必要があり,それができなければレイアウトが崩れるという副作用があるからだと思われる。
送受信履歴が保存できるという嬉しい機能があるのに,2年間分しか保存できないというのは残念である。去年だけ届かなかったのか,ずっと届いていないのかの区別はできない。割り切りがいいといえばそこまでだが。
せっかく喪中欠礼の保存ができるのに,年賀状の代わりに出す寒中見舞いに対応していないのは残念である。はがきデザインキットの中で何とかするには「暑中見舞い」を代用するしかないが,そうすると夏の暑中見舞いと区別がつかなくなってしまう。喪中欠礼なのに,年賀状の宛名を印刷できてしまうのは,印刷その他すべての選択をひとつのチェックボックスで実装しているからで,仕様上,必然的に発生してしまう問題である。
もっともショックだったのは,日本郵便の公式ソフトなのに,はがきの郵便番号の位置がずれて印刷されてしまうことだった。もちろん,プリンタによっては調整が必要であることは承知しているし,注意書きにも記載されている。問題は,手動調整した場合に,印刷イメージの枠とずらして番号の位置を設定しなければならないという点である。画面上の印刷イメージと,実際の仕上がりが一致するように設定できるといいのに。残念な点である。
Excel の住所録を出力する際,はがきデザインキットで読み込める形式にするために,以下の一連の手順を繰り返した。
最後までやって問題があったら,すべてを削除して最初からやり直すのである。予想以上に時間がかかってしまい,もしかすると手書きと同じくらいだったかも知れない。だとするとこの努力ってば…(泣)。
はがきデザインキットは,CSV で住所を取り込め,番地の半角から全角への変換ができることなど,必要な機能を備えている。しかし,印刷のずれ,フォント選択肢の少なさ,寒中見舞い非対応,履歴の短さなどの欠点がある。来年は来年版が出るのだろうが,使い続けるかどうかは来年版のでき次第というところである。
2015年12月30日追記:
2016年版「はがきデザインキット2016 Ver 9.0.2」には CSV ファイルを正しく読み込めないという致命的なバグがあります。バージョンアップせずに「はがきデザインキット2015 Ver 8.0.0」を使い続けることをお勧めします。
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