今回のハワイ出張での一番の問題は英語だった。プレゼンは成功。Google 翻訳ありがとう。会話は微妙だった。
今回のハワイ出張の目的は,仕事の成果を英語でプレゼンすることだった。出張の件は1年前から頼まれていたので,準備期間は十分にあった。逆にありすぎて持て余した。
仕事のまとめ原稿を作り始めたのは半年前くらいで,最初にレポートとして書いて有料の英文校閲を受けた。しかし,このままではプレゼン原稿にはならない,ということが分かったのはプレゼン原稿を作り始めてからである。レポート形式とスライドで説明する形式では表現がかなり違ってくるのだ。こねくり回して完全に原型を留めなくなってしまったが,そう何回も有料の英文チェックをしてもらうわけにもいかない。
残り1か月となったところで,Google 翻訳の精度が大きく改善された (Google Japan Blog: Google 翻訳が進化しました。)。これはありがたかった。ディープラーニングによる成果らしい (「Google翻訳」の精度が劇的に向上したワケ - 日経トレンディネット)。
言いたいことがきちんと翻訳されているかどうかは,日本語→英語の後,英語→日本語に翻訳しなおしてチェックした。そして,翻訳機にかけるときは,表現にぶれがないように注意した。例えば,「風呂に入った」は,普通は湯船に浸かったり体を洗ったりすることを意味するが,字面だけを見れば,服を着たまま風呂場に立ち入っただけというようにも読める。人間は文脈に依存して解釈するのを当然としているが,機械はそうではないので配慮してやらなければならない。そこで「風呂に入った」ではなく「入浴した」と表現して翻訳機にかけるようにした。
原稿ができたら何度も音読し,手直ししてまた音読ということを繰り返し,結局発表の前日まで修正は続いた。音読を数十回繰り返していると,無理に覚えようとしなくてもだいたい覚えてしまう。
会話の練習はほとんどしなかったが,オンライン英会話の体験コースに申し込んで試すことはした。レアジョブ英会話で30分の体験を2回やってみた。人との会話は難しく,言いたいことが口からでてこないというもどかしさを感じた。これにはまた別のトレーニングが必要なようだった。「あー」「えー」が多いという指摘を受けた。凹んだが,自分自身で注意しなければならない点が明確になってよかった。
プレゼン資料は PowerPoint で用意し,本番は「発表者ツール」を使って台本をちら見しながら発表した。「発表者ツール」を使うと,会場にはスライドのみが映し出され,発表者にはスライドと台本の両方が表示されるのだ。緊張で頭が真っ白になるという事態が起こっても,台本をガン見しながら読んでしまえば切り抜けられるという寸法だ。
発表をなんとか乗り切り,質疑応答も予想以上に上手くいった。寝ずに考えたジョークで笑いもとれたのが嬉しかった。
プレゼンはネット配信もされて,世界各国の関係者に見られてしまった。想定外だったのは,ネットには,発表者ツールの「発表者が見る台本」の方が流れてしまったということだ。すべてのセリフが読まれてしまった。途中に挟んだ冗談も,実は台本通りだったことがバレてしまった (冷汗)。
他のプレゼンターにも質問を積極的にしてみた。せっかく遠くから来たのだから,この機会を有効活用しようと思ったわけである。その場で考えた英語で質問し,通じたのはよかった。しかし,ひとつ気になったのは,私の質問を司会者が言い直すことだった。「彼の質問はつまり,これこれこういうことだ。」と言うのである。要するに,質問の意図は伝わっているものの,表現が自然ではないということなのだ。
その他に印象に残ったことがもうひとつ。日が経つにつれ顔見知りも増えてきて,最終日の前日あたりにレクリエーションで歌を歌う機会があった。次はオレが好きな歌,その次はアタシが好きなあの曲,のように次々と思いついた歌を歌っていく。そして皆で声を合わせて歌うのだ。メロディーは知っているものが多かったが,歌詞がまったく分からん。自分も若い頃好きだった歌があるが,それはすべて日本語である。そこで強く感じたのは,英語を話すということは,英語を知っているのはもちろん,英語圏の文化を知っていることも必要だし,それに加えて英語文化圏での経験をしているということなのだ。この点,英語圏で過ごしたことのない私にとっては,まったくと言っていいほど経験がない。子供の頃にマザーグースの歌を聞いて育ってもいないし,テレビやラジオから流れてくる音楽がすべて洋楽だったわけでもないのだ。アメリカの音楽と言えば,1980年代にベストヒットUSAを見ていたが,それは一週間に一度だけ。圧倒的に経験が少ないということを思い知らされたのだった。
Posted by n at 2016-12-16 21:24 | Edit | Comments (0) | Trackback(0)
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