挨拶文や退職願などで、自分のことを謙って(へりくだって)呼ぶときに、「私儀」を使うことがある。ここでの疑問は、これを何と読むかである。
色々な辞書で調べたのだが、載っていないものである。
小学館の「日本国語大辞典 第二版」では次のようになっている。
まず、「しぎ」という熟語を引くと、
【私義】(しぎ) よこしまな義理。 【私議】(しぎ) 自分勝手な意見をいう。内密に議論する。また、個人の考え。
この2つしかない。熟語としてはないようだ。そこで、「儀」を引いてみると、意味が合うものが出ていた。
ぎ【儀】(二)〔接尾〕 自分、または自分の側を示す名詞に付いて「こと」「…に関して」の意を表わす。候文や、届け書の類で用いられることが多く、謙譲の意を添える。 〔発音〕ギ
やはり、「しぎ」だろうか。挨拶文では「わたくしこと」と読んだ方が、流れがよいように感じるのだが…「こと」とは読ませない…。
「私儀」は文頭に来ることが多いにも関わらず、一番下に書いて、その後の文は改行して行頭から書き始めるのが通例である。意味だけでなく、位置までも謙っているのである。このあたり、異様に念が入っている。何もそこまでしなくてもという感じさえする。
蛇足:
「日本国語大辞典」では、別のことが気になった。「表わす」と書いてある。「表す」と書くことが多いように思う。「表わす」をこの辞書で引いてみればよかった。
2005年4月6日追記:
遍歴太郎さんのコメント により,「私儀」は「わたくしぎ」と読むことが分かりました。感謝します。英語では "as for me" に当たるようです(栗鼠くん - Kanji - 私)。
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退職願という言葉に思わず反応!(苦笑)
私は2002-2003 の間に、退職届(退職願ではありません!絶対に退職するという意思を表すための届けです)を1年間で数十通書きました。
これを書く前に、さまざまな文例を見たのですが、「私儀」は使いませんでした。
誰が見てもわかりやすい文面にしたかったからです。
会社辞めるときにまで、見栄は張りたくなかったのもあります。
実は、今日、棚を整理していたらこれ(封筒に入れたが渡さずに未開封のもの)が出てきました。懐かしい思い出です(爆)。
Posted by: calc at July 19, 2004 00:35> 誰が見てもわかりやすい文面にしたかったからです。
Posted by: n at July 19, 2004 00:54なるほど、ご意見もっともです。深いですねぇ。
「私議」は「わたくしぎ」と読みます。
Posted by: 遍歴太郎 at April 06, 2005 18:09ありがとうございました。胸のつかえが取れました。
Posted by: n at April 06, 2005 22:46