先日,エアコンを購入し取付工事が完了した。しかし,その工事は手抜きだったのかも知れない。手抜きかどうかの線引きは結構微妙である。
先月,エアコンを購入し,取付工事が行われた。エアコン工事に詳しい知人と話す機会があったので,工事の方法について聞いてみた。すると,「それは手抜きじゃね?」というのである。パイプの中にガスを充填する前の「真空引き」の作業は,電動の真空ポンプで行うのが正式だというのだ。うちの工事は手動の真空ポンプだった。
先月6月12日にビックカメラ池袋店でエアコンを購入した。富士通ゼネラル社製の AS-E40S である (ルームエアコン2007年モデルAS-E40S製品紹介 - 富士通ゼネラル JP)。この製品にした理由は次の通り。
12畳以上用の機種を探すと,最新機種では20万円以上になる。しかし,これには手が出ない。20万円以上の機種は,普通に冷暖房の風が出てくるだけではなく,効率よく冷やしたり暖めたりするためのインテリジェントな仕組みが入っているからである。
電源として100Vのものを選んだのは,賃貸住宅であり,「200Vに変えてもいいが,解約時には元に戻せ」といわれているからである。エアコンには100Vと200Vのタイプがある。電圧が高いほうが伝送効率が高いので省エネになるのだ。100Vを200Vに変えるには,ブレーカー工事が必要になる。ブレーカーを確認すると,+100, 0, -100 が来ているので変更工事は可能ではある。部屋を解約するときに戻すという手間が発生するのが面倒なのだ。
決め手は価格である。実はエアコンを初めて購入するので,どんなものがいいのかの基準が自分の中にないのである。中途半端なものを買って不満に思うくらいなら,最安値のものにした方がいいという考えである。ただし,エアコンは10年以上持つという話なので,買い替えも10年先ということになるが。値札は94,800円の10%ポイント還元となっていた。先週末の価格は89,800円だったので,交渉すると89,800円になった。ただし,ポイント還元は5%になった。結局あまり変わらず,交渉の甲斐なしと。
省エネ達成率は95%で若干低い。つまり,省エネを達成していないというのがマイナス点である。
前置きが長くなりすぎた。
購入した週の週末である6月16日に取付工事が行われた。どのような手順になるのか興味深かったので,工事の間ずっと見ていることにした。設置工事に来たのは2人。ビックカメラの社員ではない。いわゆる下請け業者である。
エアコンの設置工事には「真空引き」という手順がある。パイプの中の空気を抜き,真空に近い状態にする作業である。冷蔵庫と同じように,冷房には特殊なガスを使う。昔はそのガスにフロンが使われていたが,環境への悪影響から代替のガスが使われている。ここでのポイントは空気ではないということである。エアコンでは,その特殊なガスだけで運転したときに最大効率が得られるように設計されている。したがって,パイプの中に空気が残っていると効率が落ちてしまうのである。
実際の工事は,手動の真空ポンプで行われた。時間にすれば3分ほどである (上の写真)。
先週,エアコンの取付工事について詳しい知人と話す機会があった。その人が言うには,「真空引きをちゃんとしてた? 手動で3分? 電動の真空ポンプで15分やらないとダメだよ。僕はそうしてる。」とのことだった。エアコンの取付工事をかなりの数やってきたそうだ。では手抜きだったのだろうか? 心配なので調べてみた。
真空引きには,電動の真空ポンプを使用するのが正しいとされているようだ (エアコンの手抜き工事について)。むー。さらに,次の説明もある。
ポイント3
エアコンには「据付工事説明書」がついています。業者はなぜかこれを隠そうとします。まず「据付工事説明書」を受け取り、工事内容を把握し、これを見ながら工事に立ち会って下さい。あなたのこの姿勢だけで、手抜き工事はできにくくなるはずです。
これは知らなかった。「据付工事説明書」を業者は置いていかなかった。取扱説明書の他に,そのような説明書があるとは。私は,この手の工事には,立会いをして全ての工程を見せてもらうことにしている。それは次の理由からである。
第三者が見ているだけでも手抜きはしにくくなるものだ。無言の圧力になる。誠実に工事をしている業者にとっては,逆に嬉しいことかも知れない。
想像してみると,「これは手抜きでは?」と思ったときに,工事業者にそれを言うのは結構勇気が必要だ。だいたい工事の人たちというのは,体もデカイし,有無を言わせないような雰囲気を持っているからだ。最初から文句を言う態度ではなく,質問するという形で確認をしていけば,気弱な私でも何とかなりそうである。
さて,話は手動ポンプに戻る。三菱重工冷熱機材株式会社の手動式簡易真空ポンプの説明書には,次の記述がある ([PDF] 手動式簡易真空ポンプ 手動式簡易真空ポンプ)。
「あくまでも、電動ポンプ使用が基本です。
- 電源がないところ
- 電源コードがどうしても届かないところ
- 電動ポンプを忘れたとき
の緊急の際に御使用下さい。」
近くに電源はあった。しかし,電源が不要だった。手動のポンプしか持ってきていなかったからだ。手動ポンプについては,今後は主力の方式になると思われます
といっているサイトもある (工事の注意点:エアコントラブル相談室)。ので,完全に手抜きであるとは言えない。しかし,よくないのも事実である。という訳で微妙なのであった。
さて,これからどうするか,それを考えなければならない。手動ポンプでも「一応は」できるのだから,工事をやり直せというのは無茶だろう。
業者に言いたいことを伝えたい場合,「これこれをして欲しい」と言わなければならない,と私は思っている。そうでなければ何も伝わらないのだ。つまり,例えば,単に元請である販売店に電話をして「手動ポンプで工事をされた」と言っても何も変わらない。これでは単にこちらが文句を言っているだけになる。電話を受けた方も,「文句を言ってきた客がいた」と思うだけで,会社に報告することも,そのまま握りつぶしてなかったことにするのも自由である。
別の製品を買ったときについてきた,営業部宛の「ご意見・ご要望ハガキ」に事実を書いて送るのがよさそうである。これならば,会社に報告としてあがるだろうし,次に誰かがエアコンを買うときには,もしかすると,何かが変わっているかも知れない。
2013年1月9日追記:
洗濯機にも据付説明書があります。何も言わないと黙って持って帰ってしまうので,渡してもらうように要求することが大切です (nlog(n): 洗濯機 AW-70DL 購入そして据付説明書はどこへ)。
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据付工事説明書を置いていってない! って事でクレーム処理してもらえばいかがですか? そしてそこに電動!って明記してあれば 完全にミスなので やり直しもしてもらえると思います☆
Posted by: maro助 at July 18, 2007 18:14maro助 さん
Posted by: n at July 18, 2007 21:50おぉ。そうですね。確かにおっしゃる通りです。まずは据付工事説明書を要求するところから始めればいいのですね。ありがとうございました。