英短文を暗記し始めて1年が経ち,英文を覚えることに抵抗がなくなってきたので,もう少し長い英文の暗唱トレーニングを始めてみることにした。
「基本英文700選」をつかって英短文暗唱をしたところ,自分の頭の中にある英文記憶のための空間が広くなった (nlog(n): 基本英文700選の暗唱4周目)。そこで,欲を出して,もう少し長い英文を暗唱してみることにした。使用する教材は,「速読速聴・英単語 ― Core 1800」である。実はこの本,1999年に出版されたもので,ちょと古い。これはつまり,私の英語勉強熱が10年前にもあったことも意味している。
さて,この本では,1つの話題について,英字新聞の記事を100語程度で抜き出し,英文の解説に加え記事の内容の解説が行われている。つまり,内容が少し難しいのだ。
英文暗唱に際しての利点は,次の通りである。
「基本英文700選」では,10語〜20語からなる英文が1文ずつバラバラなため,いちいち日本語訳を見直さなければならないという欠点がある。つまり,最初の日本語訳を見てから英文暗唱を繰り返し,次の日本語訳を見てから英文暗唱を繰り返し,のように,何度も本を見なければならない。一方で,こちらの「速読速聴・英単語」は,一度日本語訳を見れば,100語の英文が出てくるようになるので,歩きながら覚えるときなどに最適なのである。
英文を暗唱する繰り返し回数は100回に設定する。学習方法はこれまでと同じ (nlog(n): 英短文暗唱トレーニング法 - 私の場合)。
英文そのものよりも,書いてある内容が難しいというのはどういうことかというと,日本語で書いてある新聞であっても,難しくて読んでいて分からないことがある,というのと同じである。
例として,以下に1つの話題について引用してみる。
23. Education reform needs balance
- The nation has in recent years / witnessed an accelerated drive / to lift regulations in many sectors of society / and to transfer some power / from the central government to local authorities. //
- This has served to step up efforts / to reform the education system / in a process that has been described as "educational liberalization." //
- Such a liberalized educational system will inevitably mean / that some responsibility must be assumed / by every member of society. //
- The drive for freer and more flexible education system will no doubt raise many questions / about whether school administrators, teachers, parents and local officials / will be able to work together. //
(The Daily Yomiuri, July 9, 1998. 103 words)
「速読速聴・英単語 ― Core 1800」 p. 116
赤字で強調してある単語については,続くページに解説がある。タイトルに「needs balance」とあるが,本文では何とのバランスが必要なのかまでは書かれていない。本文は記事の最初の部分のみ抜き出したものだからだろう。
次にあるのは,「読み下し訳」というものである。上の英文でスラッシュ「/」で区切ってある部分ごとに分けて日本語訳してあるのだ。つまり,英文の順番は変えないようにしたまま,表記は日本語という,中間的な形態なのである。英語の語順のまま読んでも,意味がつかみにくいことが分かるだろう。この分かりにくさを認識するだけでも意味がある。
【step 1】読み下し訳
- この国はここ数年 / 加速した動きを目撃してきた / 規制を緩和する (動きを),社会の多くの分野で / そして権限を委譲する (動きを) / 中央政府から地方自治体へと。//
- このことが努力をさらに進めるのに役立った / 教育制度を改革しようという (努力を) / ある過程において,これまで「教育の自由化」ととらえられてきた (過程)。//
- そのような自由化された教育制度は必然的に意味する / ある種の責任 (を負うの) は当然だとされることを / 社会のすべての構成員によって。//
- より自由でより柔軟な教育制度を求める動きは / 間違いなく,多くの問題を提起するだろう / 学校運営者,教員,両親,そして地方自治体が果たして / 共に取り組めるかどうかについて。//
「速読速聴・英単語 ― Core 1800」 p. 117
強調部分が英文で強調した部分に対応している。この中間的な訳があるのは非常にありがたい。語順的にも,言い回し的にも,日本語っぽくないが,英語を日本語で理解するためには必要な段階だからである。日本語と英語の相互変換には,この段階が避けて通れない。
そして日本語の通常訳が続く。
【step 2】通常訳
- 日本ではここ数年,社会の多くの分野で規制を緩和し,権限を中央政府から地方自治体へと委譲する動きが加速した。
- この動きは,「教育の自由化」ととらえられてきた過程において,教育制度改革をさらに推進することになった。
- そのような自由化された教育システムは,当然,社会のすべての人がある種の責任を負うことを意図している。
- より自由で柔軟な教育制度を求める動きは,学校当局,教員,両親,地方自治体が共に取り組めるかどうかについて,必ず多くの問題を提起するだろう。
「速読速聴・英単語 ― Core 1800」 p. 117
「読み下し訳」が直訳風であるのに比べ,「通常訳」は日本語として自然になっている。例を挙げると,読み下し訳では「この国はここ数年,加速した動きを目撃してきた」であるが,通常訳では「日本ではここ数年,動きが加速した」となっている。細かいところでは「学校運営者」→「学校当局」などがある。「読み下し訳」は,自然な英語と自然な日本語の中間的な存在で,不自然ではあるが,その役割は大きい。日本語から英語への変換を考えるとき,特にその威力を発揮する存在である。
先にも述べたが,この本は10年前のもので,扱っている内容が時事英語のため古いのが難点である。米国大統領として Clinton,米国国務長官としては William Cohen が出てくる。「そんなに古いことを覚えてどうするのか」という気にもなったりするが,歴史を振り返るきっかけにもなるので,すべて無駄というわけではないだろう。現在発売されているものは,バージョン3となっているようだ (速読速聴・英単語 Core1900〈ver.3〉)。
Posted by n at 2009-04-17 06:23 | Edit | Comments (0) | Trackback(0)
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