楽譜組版ソフトの LilyPond でテンポ指定をする場合,楽譜上のテンポ表記の指定と,MIDI 出力のテンポ指定を別に行う必要がある。
LilyPond は楽譜組版のためのソフトウェアである (LilyPond, music notation for everyone)。Linux, FreeBSD, MacOS X, Windows ME/NT/2000/XP で動作するパッケージが用意されている。LilyPond は,テキスト形式のソースを処理し,PostScript と PDF 形式の楽譜,MIDI を出力する。LilyPond には GUI はない。GUI としては,別のプログラムが開発されている (Denemo)。これは,MusiXTeX と NoteEdit の関係と似ている (楽譜をかく)。私は,以前は ABC 形式のテキストで書いたものを abc2mtex で変換して MusicTeX で処理していた。MusicTeX の改良版が MusiXTeX である (MusiXTeX - Free Software Directory - Free Software Foundation)。
LilyPond は詳細な指定ができるが,CUI であるため,直感的に楽譜を把握することができない。Denemo は WYSIWYG ではないものの GUI ではあるので,入力が容易だが,詳細な指定ができない。したがって,楽譜作成の作業の流れとしては次のようにすると効率がよい。
Denemo は,Denemo 形式(バイナリ) と MIDI 形式のファイルしか開くことができないので,Denemo → LilyPond は一方通行である。LilyPond 形式のファイルを編集しても,Denemo には反映されない。ここが残念。
さて,LilyPond でテンポ指定をする場合,楽譜上のテンポ表記と,MIDI ファイルのテンポ指定は別に行う必要があるので,注意が必要である。例えば次のように指定する。ファイル名としては sample.ly というように,拡張子を .ly として保存する。
楽譜上のテンポ指定は,\tempo で行う (Metronome marks - GNU LilyPond)。MIDI のテンポ指定は \midi の中で tempoWholesPerMinute を使って指定する。このとき,上記のように \Score も必要である (Creating MIDI files - GNU LilyPond)。\midi の中に \tempo を書くと,ログファイルには次のようなエラーメッセージが記録される (Windows 版の場合)。
テンポ指定をしない場合,非常にゆっくりしたテンポになる。
Posted by n at 2008-03-23 02:08 | Edit | Comments (0) | Trackback(0)
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